1232 上モザキ鼻=岩船郡粟島浦村(新潟県)この岬名も地理院地図にはないのだがいったい粟島灯台はどこに?

粟島浦村や観光協会が連携してつくっているらしい粟島の案内PDFは、事前にダウンロードしておいた、これには日によって結構めまぐるしく変わる乗合タクシーと粟島汽船の運航ダイヤが収録されているうえに、観光船シーバードの運行表、それに島内マップ、コミュニティバス情報などが収められているからだが、来て見るとそのパンフが船の乗り場などあちこちに置かれている。「AWASHIMA GUIDE BOOK 2015」というこのパンフひとつあれば、粟島のすべてが足りる。(ただし、印刷パンフ版のマップと、ダウンロード版とでは岬名などが省略されているので、ここに掲げているのはダウンロード版)
小さな島だけに、またアクセスは連絡船のみということもあって、官民連携もうまくとれているように感じられる。
そのマップに、上モザキ鼻とあるのは、島の最高峰小柴山の南東の海岸線である。上モザキ鼻も前項の瀬ノ鼻と同じく、地理院地図には表記がないが、その地図でもどこが岬なのか、まったく判定に苦しむ。

小柴山の南海岸には多少の岩礁が描かれており、どうやらその北のあたりがマップでいう上モザキ鼻らしい。
こうのっぺらぼうで、変化に乏しい海岸線では、いかさま岬名をつけるにはよほどのことがない限り、地理院としてはムリなのであろう。
では、観光マップ(ダウンロード版)のほうにはなぜ「上モザキ鼻」と堂々と表記してあるのだろう。

そう思ったが、実はこのマップも決して「堂々と」表記しているわけではないのだった。よくよく見ると、瀬ノ鼻や上モザキ鼻などの岬名表記は、次の矢ヶ鼻など地理院地図にも表記がある岬名とは、フォントが異なっている。文字も一回り小さく肉薄である。明らかに、岬名表記に使い分けをしていることがわかる。
つまり、このマップの制作者は、地理院地図にはない岬名を入れるにあたって、充分にそのことを意識しているように思われるのだ。ということは、逆に小さめに表記された地理院地図にはない岬も、ある程度しっかりした意思に基づいて付けられているということができ、逆に地元の通名として信頼できると考えられる。
マップには「モザキ」としてマリンダイビングのアイコン表記もあった。これから想像できることは、モザキというのは海中の根の通称であって、ダイビングや海中散歩などにも適した場所があり、その場所に関連してつけられたのが上モザキ鼻なのではなかったか、ということだ。
「モザキ」は「藻崎」なのかもしれない。
例によって、勝手な憶測で暴走しておりますがネ。

野馬公園に続いては牧場、それに流行のバードウオッチングのポイントなども示してあり、やこれらの観光施設を海のレジャー、それに伝統的な海釣りという魅力と組み合わせて、観光で人が呼べるようにしようということなのだろう。
実際、近年のマリンスポーツなどの人気は大変なもののようだが、なんとなくそれらは南のイメージで、北の日本海ではそれを想像しにくかったのも事実だ。
港の立地もあるうえにフェリーでは90分という小さくこれといって特色もない離島では、漁業と観光でしか生活を立てるほかはないのだから…。
マップには粟島灯台という表記も上モザキ鼻の所に記してあるのだが、これがまた悩ましい。灯台表記は、地理院地図では小柴山の三角点のところに付けられているからだ。
そして、船から目を皿のようにして見ていたのだけれども、山の上にも海岸にも、灯台らしいものはついに発見できなかった。

▼国土地理院 「地理院地図」
38度26分54.07秒 139度14分28.34秒




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