1121 田切須崎=佐渡市田切須(新潟県)この岬の上の台地を縦断する国道350号線をバスで通りぬける

佐和田行きの小木線のバスに、潮掛鼻の高崎から乗ると、バス停にしかない「鉄砲鼻」と思しき付近から、国道350号線はどんどん坂を登っていく。

田切須崎は、この坂を上る途中の西側にあるのだが、当然ながら道路やバスの車窓からは見えない。
そこで、田切須崎そのものの写真は、弁天岩・高崎付近からの遠望ばかりにならざるを得ない。

こうして南側から見ている田切須崎は、傾斜もゆるやかでのったりした感じなのだが、これが北側に回ると、海からいきなり50メートル立ちあがる断崖絶壁の海岸線になるが、それを見ることもできない。

海岸のバス停西三川から北へは、直線距離でおよそ5.2キロ、大須鼻の先までの間は、バスと道路は海岸から離れて山の上を走ることになる。ここは15日の午前中に、真野から羽茂小泊まで行って、帰りは高崎から真野まで戻っているので、車窓写真は往と復が入り交じっている。

山の上といっても、だいたい80〜90メートルくらいの標高で、海岸から急にせり上がった崖の上は、比較的ゆるやかな斜面をつくっているので、そこに集落が点在し、田圃が広がっている。

高いところに、水を張った田が続き、その向こうが山ではなく海と空。言うなれば、これぞ“天空の田圃”である。田圃は道路の海側だけでなく山側のほうにもっと深く広がっているらしい。
この向こうの崖の下が、田切須崎とその北の海岸になる。
ふと考えたのだが、集落と岬の名前になっている「田切須(たぎりす)」というのは、どういう意味なのだろうか。
もちろん検索で調べてみたが、もちろんその範囲では答えは見つからない。

Yahoo!地図の写真で見ると、国道から東側は広く整然と区画されている。この写真は、田に水が引かれる前の春に撮影したものだろう。水を落として借り入れが終わった後の秋ではないことは、森の緑の色が語っている。
こうしてみると「田切須」の名も、このへんに意味があるような気がしてくるのだが…。
もうひとつ、iPad mini のマップを3Dで見ると、こんな感じで北海岸の崖の様子がよくわかる。こちらは山の色からまさしく秋である。

田圃と道路の間を仕切っている緑のベルトは照葉樹林帯で、ヤブツバキの群落もある。田切須には果樹園やバラ園などもあり、小さいながら昔はやはり鉱山もあったらしく、現在でもその後がこの緑と田圃のなかに埋もれているようだ。
もっと古くは、古墳などの遺跡もいくつもあるようで、そういったことからしても、水にも恵まれていたこの台地の上は、太古の昔から人々を引き寄せる魅力のある土地だったようだ。
田切須から、北へ大倉谷、大小と地名が変わるが、バスの車窓からの風景はほぼ変わらない。相変わらず、台地の上を田圃を横目に走っている。

田圃の向こうにまた海が見えてきたが、これはもう真野湾である。その向こうの山並は、金山のある相川の山々である。

国道350号線が、真野湾に向かって下りにはいるところから、大須になる。
▼国土地理院 「地理院地図」
37.907518, 138.278891




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