1097 樹崎=佐渡市秋津(新潟県)両方に津がある両津の加茂湖にある岬を対岸の原黒または椎崎から見る

佐渡ヶ島はこれが初めてである。新潟まで来ることはあっても、そこからまた万代島のジェットフォイル乗り場まで行って、60分の船旅で両津港まで行くのは、単にちょっと足を伸ばすという範疇を超えている。

そこで、今回4泊5日で佐渡ヶ島を路線バスで一周してみることにした。
ごく自然に“佐渡ヶ島”と“ヶ”を入れてしまったが、地理院地図では“佐渡島”、一島全部が新潟県佐渡市である。佐渡と本州をつなぐ航路は、両津のほか赤泊や小木にもあるが、やはり表玄関は両津であろう。

佐渡の最初の岬は、加茂湖のなかにある樹崎。両津の港は外海につながる両津湾と、その内側に閉じ込められたような加茂湖の間の細長くて低い陸地の中央にある。ジェットフォイルが着く港の北側でその陸地が切れていて、3本の橋でつながっている。つまり、加茂湖は海水と淡水が入り交じる汽水湖なのだ。

両津の陸地は、自然と人間の共同作業によって、両側から伸びていき、現在のような形になったものと思われる。
加茂湖は南北に約4.5キロもある細長い水域で、その西海岸の中央付近にある出っ張りの細く尖った先端が樹崎である。そこには神社もあるらしいが、対岸の原黒地区からこれを眺めている。

十数メートルくらいの高度しかない岬の西には、佐渡空港の滑走路があるので、飛行機の離着陸にさいにはこの岬を上から眺めることもできそうだ。静かな加茂湖の水面には、かきの養殖場があって、かき筏もたくさん浮かんでいる。

湖畔の北側は人家も多く、旅館なども集まっている。東湖岸は湖に向かって船着場のような場所がずらりと続いているが、その南の端付近の湖岸で、ちょうど宮津湾の伊根の舟屋と同じような、家の下が船着場になっているような建物がある。それらはすでに閉鎖されたか取り壊される寸前のような状態のようだ。しかし、見ている間に船が一艘入って行ったのでまるっきり使われなくなったというのでもないらしい。

南になるほど人家は減り、樹崎付近では自然地形がそのまま残されているようだ。
原黒の丸い出っ張りの先端と、樹崎の間は850メートルほど離れているだけで、この出っ張りの上にある椎崎温泉を、佐渡第一日目の宿とした。
“椎崎”というくらいだから、樹崎だけでなく対岸のここもかつてはれっきとした岬だったのだろう。

それが、長い間に岬としての存在感も存在意義も失われてしまい、現在では字名にもなく、ただ温泉の名前にその名残を留めている、といったところだろうか。
その椎崎の湖岸からの樹崎は、いまにも加茂湖のなかに呑み込まれてしまいそうに頼りなげだ。

加茂湖の北西には、標高1,172メートルの佐渡最高峰の金北山を中心とする山塊が、北から南へちょっと斜めに横たわっていて、その山頂付近には積雪が残っている。

少し高台にある椎崎温泉のホテルの屋上から見ると、樹崎のある加茂湖を抱え込んでいる両津の細長い町筋が、加茂湖と両津湾を仕切っているのがよくわかる。これこそが、“両津”の名の由来なのだろう。

だが、樹崎の方向には展望がきかないので、高度のある眺めがない。翌日、加茂湖の南東岸を走るバスに乗った。その車窓から、ちょっと別の角度で…。

このバスは、途中の佐渡総合高校へ通学の高校生で満員で、後ろの入口から乗った後ろの非常口のところに立って、やっと撮った。その横の二人がけの座席は、高校生が一人とそのカバンが占領しているし、最後尾の長い座席は大股を広げた若者で占められていた。
非常口の窓に広がる水田風景はしばらく続き、加茂湖が元々はもっともっと広く、その端から水田に取り込んでいったと思わせる。この水田の西側に続く丘に、トキ保護センターはある。
▼国土地理院 「地理院地図」
38.062103,1 38.430517




この記事へのコメント
舟屋の風景もあって見所おおそうですね〜
dendenmushiさんの岬めぐりも日本を一巡したのかなぁ^^
あとね、四国も瀬戸内がまだだし、九州も…。
島は後回しのつもりなんですが、大きいとこ目立つ島はやはりほっておけない、ということで佐渡島にやって来ました。