965 長っ崎=神津島村惣四郎(東京都)三浦湾展望台からの眺め最高ですよとカジキマグロも…言うわけないよね

松山鼻の南には、3つの岬が連続している。それも、かなり接近しているが、いずれも高く険しい崖の幅も細い岬で、周回道はない。それらの岬が望める場所は、海上からを除けば、島のメイン道路である都道224号線の延長になっていて、かなり高いところを走る空港への道の途中以外には適当な場所がない。

念のため、船の上から見た長っ崎も…。

空港から先には、岬はないのだが、灯台があると地図には記してあるので、まずはバスで空港まで行って、灯台から歩いて戻ろうかと考えた。この考えは、結果的に失敗に終わるのだが、ここでは地図の時計回り順に、岬をめぐる形にしておく。
その順番では、松山鼻の次は、それに続いて南に大きく張り出している長っ崎(ながっさき)になる。いかにも、地元の人々の呼び習わし方がそのまま名前表記に定着したような名である。実際には、長っ崎と松山鼻がある出っ張りはそう長く突き出しているわけではないが、確かに見る場所によっては長く見える。

空港への道路が、秩父山(280メートル)という島の南部でのピークの横っ腹を切り裂いて南北に通じているところは、200メートルもの高さがある。その下の東側は、深く切り立った断崖絶壁になっていて、三浦湾という入江に面している。三浦湾は長っ崎の西、三浦漁港は松山鼻の北になる。

「960 牛鼻」の項で述べたように、36もの細かい字地名に分けられている神津島だが、その境界線の引き方というか、分割の仕方がこれまた尋常ではない。それこそ気まぐれな神様が寄って、でたらめに勝手な線引きをしたとでもいうような切り分け方がしてある。
この三浦湾西の断崖絶壁とその上のアンテナ施設をのっけた秩父山までの間と、この次の岬である猿ヶ崎までが三浦という字地名で、三浦漁港のあるところは三浦ではなく榎木が沢となっている。そして、長っ崎のあるところは惣四郎。
…と書いてみても読む人にはぴんとこないだろうが、要はこの島の36の字地名は、かなり複雑に入り組んだ線で細かく区分されているということである。

その名も“三浦湾展望台”からは、長っ崎の向こうに天上山の斜面と多幸湾と砂糠崎、祗苗島が望める。
長っ崎も全体が白っぽい流紋岩らしい岩肌を見せ、その西の崖下には、砂糠崎と同様に大きな海食洞窟が黒い口を開けている。

展望台の下は70~80 メートルはあろうかという急な岩崖なので足下は見えず、三浦湾も長っ崎側の一部しか見えない。
三浦湾展望台は、この島の重要ポイントのひとつであるらしく、展望台のスペースのところはバス停になっている。

村営バスのルートのひとつは、神津島港と三浦漁港と神津島空港という3つの港を結んでいると、前にも書いた。曲がった道を引き延ばせばT字形になるとも書いたのだが、展望台には東京都大島支庁が立てた、こんな「神津本道」と題した地図標識があった。


この地図は、なにを言わんとしているのか、ほとんど設置趣旨不明確でなかなかおもしろいので、アップしておこう。
いや、題名からすると道路の標識以外ではない。それも、起点を西海岸北部の長浜とし、三浦漁港を終点とし、神津島港のところを渚橋交差点としている。東海岸と西海岸を結ぶ道の途中に分岐点があり、そこから現在地の展望台を経て空港へ至る道が示されている。
つまり、これこそ都道224号線のルートマップにほかならない。これを神津本道というらしい。地図の上下には、わざわざ囲みで「渚橋交差点より3.6Km」、「分岐点より1.0Km」としてあるが、これは「現在地」までの距離である。
でんでんむしが “引き延ばせばT字形”と表現していたのは、この地図の渚橋交差点から南の部分である。そして、北側の部分が村営バスのもうひとつのルート、というわけでもないのだが、それはまだ後の話。
神津島のシンボルのようにして、カジキマグロのイラストがあしらわれている。そういえば、三浦漁港のところにも、そんな像が立っていた。

▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
34.193138, 139.152031




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