837 望ヶ鼻=長門市三隅中(山口県)秋吉台の西の鉱山から石灰石がコンベアで運ばれてくる港の岬

矛の穂先のように、青海島に向かって突き出している仙崎の東側では、小島山という標高200メートル足らずのピークをもつ半島の間に、湾の深奥部となる静かな海面が広がる。
そこに、仙崎の港湾施設が、ずらりと並んでいる。それに向かって、矛の穂先の真ん中を横切るようにして、長門市駅から分かれて山陰本線の引き込み線が延びる先に仙崎駅がある。これは、とりもなおさず、かつての仙崎港の重要性を示している名残りでもある。
仙崎駅の北側、市街地のなかに、金子みすゞ記念館がある(見えぬものでもあるんだよ)が、なんどか仙崎に来ていても、まだ訪問の機会に恵まれていない。
望ヶ鼻は、矛の仙崎と対をなすように並んでいる、小島山の出っ張りの、北の端っこである。

岬のあるところが90メートルちょっとの小山となって飛び出て、その先には戎島という岩島が浮かんでいる。その背景にある島影は、仙崎湾の東を仕切る大島、笹島、鹿の島、幸島で、そのさらに東が萩の西に当たる黒崎であろう。

仙崎港の東を、望ヶ鼻とそれに続く和田の鼻を見ながら下っていくと、海上保安部の南に湾内に突き出したベルトコンベアのラインと浮き桟橋のようなものがある。

それはバスの窓から、うまく写真が撮れなかったのだが、どうせ撮れてもいいかげんな写真にしかならない。写真なしで想像してもらいたいのだが、ここには住友大阪セメントの工場があり、この工場から延びるコンベアが白潟の港につながっている。工場からも延々と、南の山のなかに向かって、ベルトコンベアは続いている。
地図で、目の子勘定してみると、その距離はおよそ15キロもあろうか。これがなんとあの秋吉台の西隣の山まで続いているのである。そこに、石灰石を掘り出す鉱山がある。
これと似たような風景は、前にもどこかであったなあ。あれは確か、角谷岬といったか…。場所は、高知県のナントカ市…うーん、名前が出てこない。

この頃は、とくにこういう名前を呼び起こすのに時間がかかる。まあ、うなっていないで、高知県のタグクラウドリストから探ってみればいいことなのだ。
530 角谷岬=須崎市下分乙(高知県)日本最大規模の石灰石鉱業所がある岬
そうだった、須崎市だ。これは日鉱の石灰石採掘だったが、その須崎市にも、住友大阪セメントのセメント工場はあった。だが、仙崎にあるのは石灰石事業所。

秋吉台の隣の鉱山から、掘り出した石灰石を、延々山のなかにトンネルを掘って橋を架けたコンベアで、仙崎港まで運んでくる。それも、なんか凄いと思う。
そういえば、秋吉台には実は一度しか行っていないような気がする。日本一のカルスト台地を、5万分の1の地図をもって歩いた。普通、山ではピークを目指して歩くことが多いが、秋吉台では地図の凹みを探して歩く。その一度だけの印象が強烈で、いつまでも褪せることがないのだが、もう一度くらいは行ってみるべきだろうか。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度23分34.08秒 131度13分32.38秒




この記事へのコメント
そこには多くの化石も見つかっています。
有名なのは美弥のアンモナイトです。
化石ではないけど、石灰岩で緑の入った石のペーパーウエイトが、でんでんむしの秋吉台の記念品です。