834 牛崎の鼻=長門市仙崎(山口県)いつも想定外でまったく計画もなにもなしでやってきた青海島へは三回目なれど

金子みすゞをまだ知らないうちから、仙崎といえばかまぼこで知っていた。その頃のかまぼこといえば、埴輪の家の屋根のように、表面が赤か白かのすり身の両側が高くなって(その理由は、かまぼこを厚く見せるためだったのではないか)、表札になりそうな大きさの板の上に盛り上げられていた。ビニールでくるんだりもしていないで、裸のまま板に乗っていた。
仙崎のかまぼこは、それに比べると小さく、板も使い道が思いつかないほど半端に小さかった。
だが、その歯ごたえというか食感は、それまで馴染んでいたそれと違い、格段においしかったような記憶がある。
そのかまぼこの包装デザインには、岩と断崖の海岸の風景が使われていた。それが青海島(おうみじま)との最初の出会いだった。山陰にはまったく馴染みもなかったので、“ほう、こんなところがあるのか”と、いう感じだった。
周囲は約40キロメートルあるというこの島も、150メートルあるかないかの青海大橋で本土の仙崎と繋がっている。長門市仙崎という地名表記は、橋を渡る前も渡った後も変わらない。
市街地の「仙崎」も、出っ張った岬のような形をしているというので、2007年に、再訪の記録として「079 仙崎=北長門(山口県)朝やけ小やけだ大漁だ」という項目を設けていた。
そのときには、岬めぐりの方針もまだ“しらみつぶし”と定まっておらず、つまみぐいでいいかと考えていたので、今回もこの機会をとらえて見逃していた岬を拾っていく。

まずは、青海大橋を渡るとき島の西に見えるのが、この牛崎の鼻。
といっても、ここも通りすがりのバス車窓から、やっとこれだけ。この向こうには砂州でできた橋立に囲まれた青海湖があるが、バスはバスの目的地があるようで、一目散に橋を過ぎて行った。

また、この岬の北西側には、今岬というのがあるはずなのだが、このガスでは見えない。
西から、大中小と三つの島が、それぞれ砂州でつながって、ひとつの島になってしまったらしい青海島には、でこぼこにも不自由はしていないが、名のついた岬の数は、極めて少なく、名のついた岩の方が多い。
青海島の外洋寄りの、西の端と東の端に、それぞれ岬はあるのだが、そこへは道もないので、見るとしたら船しかない。
前々回も前回も、そしてまた今回も想定外のなりゆき岬めぐりなので、そこまで調べていなかったのだが、遊覧船の乗り場は、島の中にではなく、外の仙崎港にあったということがわかった。
では、次の機会には、ぜひその船で残る岬へも行くとしよう。
やたら手形を乱発しているが、もうぼつぼつ空手形になる心配もしなければならんだろうか。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度23分56.89秒 131度11分19.05秒




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