828 瀬崎=下関市豊北町大字角島(山口県)角島大橋を渡るとそこがこの岬で海士ヶ瀬戸はガスに包まれていた
下関市の豊北町神田と豊北町角島(つのしま)の間に架かる角島大橋が完成したのは、2000(平成12)年のことであった。それまでは、本土と角島の間は、海士ヶ瀬戸と呼ばれる水道を、渡船で往来していた。
約1,000人ほどが暮らす角島では、東西に集落と漁港が分かれていて、犬が遊ぶ骨のように真ん中が細くなっているところに小学校がある。いずれも海士ヶ瀬戸の側を向いている。
瀬崎は、角島大橋を渡り終わるところで、南に向いて突き出た三角である。その先端付近は砂利か砂の浜のようになっているようで、その先が角島の東側の漁港と集落に続いているらしい。
離島振興法が促進する離島架橋という形式の道路橋は、全国にも数多くある。だが、全長1,780メートルの角島大橋ほどの長い橋は、本土ではほかに類を見ない長さである。
沖縄本島の県道247号線に古宇利大橋(全長1,960m)ができているのでこれが最長だし、景観の点ではもっと絵になる橋は宮古島の池間大橋などいくつかある。こういうところは、よくCMなどに使われる。
だが、沖縄まで行くのは旅費もかかるし大変だ。その点、ここ角島大橋なら経費も節減できる。
そういうわけで(と決めつけている)、でんでんむしには縁のない自動車では、レクサスやギャランなどのCMロケ地に採用されているんだそうだ。
もちろん、山口県や地元では、CMだけでなく、北長門に隣接する新たな観光名所として売り出そうとしているらしい。だから、観光バスのコースにも入っているわけだ。
生活道路であれば、当然人も歩けるのだろうと思いきや、どうやら人道のスペースはなく、人が徒歩で歩くことは想定していないらしい。ところが、あえて「車専用」とも言っていないようだが…。
ま、実際問題として、1,800メートルもの海の上を、人が歩くことができる公道とするには、いろいろな点で困ったことになるだろう。
途中にあるのは、鳩島という。通常途中にこういう島があれば、道や橋をつける場合、まず必ずといっていいくらい、その島を橋脚の一部として通すだろう。
ところが、この橋は鳩島をわざわざ避けるようにして、ちょっと島から北の海の上を通っている。
これは、計画の段階で、自然景観保護の観点から鳩島を通さないようにしていたという。
また、この橋、よく見ると微妙に波打っている。本土側の橋の端は少し高く、そこから鳩島に向かって、橋の高度は低くなっている。これも、景観に配慮したのだという。
そして、遠くの鳩島と瀬崎の間では、今度は逆に高くなっている。これは、海士ヶ瀬戸を行く船の航路を確保するためのものであろう。
ちょうど、この鳩島と角島のつながりを暗示するような浅瀬が、国土地理院の地図には示されていて、おそらく瀬崎の名は海士ヶ瀬戸をつくる海の形状からきているのだろう。
これまで、響灘はずっともやが広がっていたのだが、ちょうど橋を渡る頃には、かなりのガスが鳩島と橋と瀬戸と岬を包んでいた。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度21分14.83秒 130度52分39.11秒
中国地方(2012/05/29 訪問)
この記事へのコメント
その点では、少しずつ変わってきているようです。
でも、場所が端っこすぎるのか、まだあまり行った人は多くないのではないでしょうか。