518 松崎・城ヶ鼻・岩ヶ崎=須崎市浦ノ内下中山(高知県)動くプレートの縁に溜まったごみの上で

埋立をでた巡航船は、これから湾内のいくつもの船着場を巡りながら西に向かって湾を進んで行く。
まず、向かうのは対岸の松崎である。松崎は、埋立のほぼ真南にあるが、船は真っすぐに西に向かって進み、岩ヶ崎が正面に見えてくるところで、大きく左へ舵を切る。つまり、湾内を迂回して進んでいる。
国土地理院の地図にも、その航路が示されていて、同時に埋立沖に点線で囲った場所があり、航路はこれを避けているのだ。

はじめは浦ノ内湾のあちこちで行なわれている養殖魚場かなにかだと思っていたのだが、ここには浅瀬があるのだ。
やっぱりね。湾の水深はそんなに深くはないらしい。
その地図では、松崎と城ヶ鼻に船着場の印がある。しかし、この海岸線も岸に沿って、ほんの数軒の建物があるだけである。

そのため、船は船着場の近くに寄ってみて、人影がないことを確認すると、船を着けることなくまた回頭して次の船着場へと向かう。
しかも、海上から見てもそれとわかるような桟橋などはまったくないので、どこが船着場かわからない。

松崎から西の並びには、城ヶ鼻、岩ヶ崎と続き、北の端に突き出たところが大崎となる。松崎と城ヶ鼻には、いちおう船着場はあるらしいのだが、乗る人も降りる人もいないので、接岸することはない。


なにも、ここに限ったことではなく、それは日本中のどこの海岸線を歩いていても感じることなのだが、日本列島の地形が複雑なのは、押し寄せるプレート(しかも複数の)が大陸の下にもぐり込もうとするときに外縁部に溜まった付加帯と呼ばれる岩石帯で、その多くが形成されているからであろう。
プレートテクトニクスの理論は、ここ数十年の間に確立されてきたものだが、若い頃にそれに関するごく初期の啓発本を読んで、驚くと同時に“どうしてそんなことがわかるのだろう”といたく感銘を受けたことがある。
学者のように「間違ったことを書いてはいけないからむずかしく書く」という必要がないので、極めて大雑把な例えで言うと、静かにゆっくりと押し寄せる波がそこらのちりあくたやごみや泡やを集めて海と砂の境を縁取るような風景を想像してみればいい。波はもぐり込むわけではないが…。
プレートに乗っかって運ばれてきた岩石や土砂などは、プレートと一緒にもぐり込むことはなく、その縁に固まってしまう。そういう、いわば寄せ集めのミックスされたような岩石帯は、当然に細切れでごちゃごちゃでまとまりも整合性もなく、折れたり曲ったり複雑怪奇な様相を呈している。
まあ、乱暴に言えば、そういう帯のような固まりが日本列島であり、われわれはその上に暮している、とも言えるわけだ。
そして、今もなおプレートはわれわれの足元(それもせいぜい数十キロほどのところ)で、やすみなく深くマントルの中へともぐり込んでいる。
昨日(2010/03/07)のニュースでは、南極の神奈川県ほどの大きさの氷山が流れ出したとか、全地球凍結を示す7億年前の地層が見つかったとかいうのと並んで、「四国の南西部でプレート境界が“ゆっくりすべりこむ”スロースリップ現象が起きていることが、GPS測地の観測で明らかになったと、国土地理院が発表した」というのもあった。
この四国南西部は、付加帯の特徴がもっとも顕著な場所としても有名らしい。
(2010/03/08記 2010/03/21Vol.2から移転統合)
▼国土地理院 「地理院地図」
33度25分47.71秒 133度25分41.84秒ほか




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