206 大久保の鼻=沼津市江浦(静岡県)見えないものを想像すると
「沼津」という地名からは、もともとは低地で湿潤な土地であったろうと、推察できる。愛鷹山の麓に、狩野川が大きく回り込みつつ駿河湾に注いでいるが、この川は伊豆の山からわざわざ北向きに流れて、遠回りをしているのも、ここが低い土地であることを示している。石廊崎と御前崎という二つの岬に抱え込まれるようにあるその湾の底は、いちばん深いところでは、2,500メートルにも達するという。その深海底に棲息するタカアシガニは、何度か旅館の水槽では見かけたが、食べたことはない。
それよりも気になるのは、この駿河湾の海底では、二つのプレートがぶつかり合いながら潜り込んでいることで、その駿河トラフは大地震の原因になり得る。
湾の最深部にあたる沼津南部付近の海岸では、浅いところも多く、波も静かな入江もあって、いかにも穏やかな風光を見てきたが、見えない海の底で、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが、今このときにも激しく衝突しながらマントルに引き込まれているという光景を想像すると、心騒ぐ気もしないでもない。
見えないから、さほどに怖いとも思わずにいるが、まあこれだけは見えたところで、どうすることもできぬ。
湿潤な地だというのは、富士山の伏流水が沸き出すところでもあるからで、もうだいぶ昔のこと、柿田川の湧水池を見に、わざわざ三島まで出かけたこともある。三島というのは電車を降りた駅がそうだというだけで、そこからはかなり歩いていかなければならない柿田川のある場所は、今の地図でみると「清水町」という独立した行政区画をなしている。
小さな町で、近隣のどことも合併せずにいるのも、なんらかの事情があってのことだろうが、町名からするとそのひとつに柿田川もあるのかも知れない。
そういえば、沼津や三島や伊豆の国市など、この付近の町が広域合併をしようというプランもあったと記憶しているが、まだ実現はしていない。大連立は、それなりにむずかしいのだろう。
狩野川という川は、台風の名前で記憶していた。その教訓からであろう、伊豆長岡から駿河湾内の江浦湾まで、放水路ができている。その小さな湾の北端に位置するのが、大久保の鼻である。


千本松原から弧を描きながらゆるやかに南下してきた沼津の海岸線が、一区切りをつけるところだ。車に乗って走っていると、カーブなど方向の変化がつかみにくいことがある。バスでもそうで、降りるべきバス停を行き過ぎてしまった。

護岸で改変されているらしい大久保の鼻は、わざに引き返すほどのこともないので、獅子浜のほうからの遠望になった。獅子浜の長い海岸は港になっており、高い壁が続いている。その壁のところどころに扉がついていて、そこから港に出ることができる。
一人の老人が手にごみのビニール袋を下げて、そこからぶつぶついいながら出てきた。誰かが、入ってきてごみを散らかしていくらしい。
人が散らかしていくごみだけでなく、海流が運んでくるごみも、このあたりにはたくさんある。
対岸の赤崎・亀島の付近から見ると、ちょうど正面にあたっているのだが…。

▼国土地理院 「地理院地図」
35度2分49.31秒 138度53分22.79秒

東海地方(2007/12/05 訪問)
それよりも気になるのは、この駿河湾の海底では、二つのプレートがぶつかり合いながら潜り込んでいることで、その駿河トラフは大地震の原因になり得る。
湾の最深部にあたる沼津南部付近の海岸では、浅いところも多く、波も静かな入江もあって、いかにも穏やかな風光を見てきたが、見えない海の底で、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが、今このときにも激しく衝突しながらマントルに引き込まれているという光景を想像すると、心騒ぐ気もしないでもない。
見えないから、さほどに怖いとも思わずにいるが、まあこれだけは見えたところで、どうすることもできぬ。
湿潤な地だというのは、富士山の伏流水が沸き出すところでもあるからで、もうだいぶ昔のこと、柿田川の湧水池を見に、わざわざ三島まで出かけたこともある。三島というのは電車を降りた駅がそうだというだけで、そこからはかなり歩いていかなければならない柿田川のある場所は、今の地図でみると「清水町」という独立した行政区画をなしている。
小さな町で、近隣のどことも合併せずにいるのも、なんらかの事情があってのことだろうが、町名からするとそのひとつに柿田川もあるのかも知れない。
そういえば、沼津や三島や伊豆の国市など、この付近の町が広域合併をしようというプランもあったと記憶しているが、まだ実現はしていない。大連立は、それなりにむずかしいのだろう。
狩野川という川は、台風の名前で記憶していた。その教訓からであろう、伊豆長岡から駿河湾内の江浦湾まで、放水路ができている。その小さな湾の北端に位置するのが、大久保の鼻である。


千本松原から弧を描きながらゆるやかに南下してきた沼津の海岸線が、一区切りをつけるところだ。車に乗って走っていると、カーブなど方向の変化がつかみにくいことがある。バスでもそうで、降りるべきバス停を行き過ぎてしまった。

護岸で改変されているらしい大久保の鼻は、わざに引き返すほどのこともないので、獅子浜のほうからの遠望になった。獅子浜の長い海岸は港になっており、高い壁が続いている。その壁のところどころに扉がついていて、そこから港に出ることができる。
一人の老人が手にごみのビニール袋を下げて、そこからぶつぶついいながら出てきた。誰かが、入ってきてごみを散らかしていくらしい。
人が散らかしていくごみだけでなく、海流が運んでくるごみも、このあたりにはたくさんある。
対岸の赤崎・亀島の付近から見ると、ちょうど正面にあたっているのだが…。

▼国土地理院 「地理院地図」
35度2分49.31秒 138度53分22.79秒


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