乗り物に乗ると、こどものように窓から外の景色を見るのが好きである。新幹線のように百数十回も乗っていても、通勤電車のように毎日乗っていても、同じことだ。せっかく旅行に来ているはずなのに、ちょっと陽が当たるとすぐに大急ぎでカーテン閉め切ってしまうヤカラの気が知れん。
まして、たまにしか乗ることのない飛行機だと、これはもう楽しみなのだ。なにしろ、地図の通りに地形が見えているというのは、すばらしいことで、これはもう、地図好きにはこたえられん。
しかしながら、なるべく窓際の席を取るようにはしても、飛行機は席が少なく自由にならないうえに窓が小さい。ガラスに顔をくっつけないと、下は見えない。それに、天気が悪い日はもちろん厚い雲の上を飛んでいるだけであるし、お天気のようでも、いつでもどこでも下界の景色を覆い隠す雲は意外に多い。幹線を行くジャンボ機などは、高度が高くてただ雲海を飛んでいるだけで、単に移動手段であるに過ぎないことだけが強調され、まったくおもしろくない。
地上が地図のようにきれいに見える飛行機に乗ることは、案外にまれなのだ。
新北九州空港を飛び立ったエアバスA320は、いったん国東半島に向かって飛び、やがて向きを東に変え、瀬戸内海の上を飛んでいく。座席の前のディスプレイを操作して、地図と飛行機の航路を表示すると、それがよくわかる。あれはいつだったか、四国の上を飛んでいて、吉野川から紀ノ川につながる中央構造帯が、はっきりきれいに見えたのには感激したことがあった。この日は進行方向に向かって左側の席だったので、中央構造帯の代わりに瀬戸の島や岬が見える。
こういう岬めぐりも、たまにはいいでしょう。でも、見えたのはこのくらいまでで、あとは雲…でした。台風がさっき通り過ぎたばかりだもの。
▲鍋尻岬・漁人鼻・宮ノ鼻・三ツ石鼻・竜宮岬・瀬戸岬・大城岬・カツネ崎・火振岬・鎌石岬=下松・笠戸島
▲杵崎・梶取岬・才塩ヶ鼻=室積
▲津長鼻・筆崎・田ノ尻鼻=周防大島
▲革篭崎=宮島・親休鼻=江田島・黒山鼻=大黒神島・新宮鼻=柱島
▲城岸鼻・鳶ガ崎・木長鼻・入道鼻=倉橋島
33度56分11.49秒 132度24分55.68秒


飛行機からの景色は、なかなかその全貌が見えないもどかしさがあります。写真にしてもガラスがあるので、なかなかうまくは撮れません。チラリズムですよ。山あいの谷のでこぼこもおもしろいのですが…。