117 萩谷崎=賀茂郡松崎町岩地(静岡県)海の青と山の緑に
ここから先へ、岩地・石部・雲見と、三つの温泉が連なり、それぞれが海水浴場と岬をもっている。だが、名前をもつ岬は、ここ岩地の萩谷崎と石部の黒崎のみである。
温泉のほうも、いたって素朴なものらしく、それぞれに古びた民宿がいくつか固まってあることを、これまたはげかかった案内看板が示している。
ほんとうは、こういうひなびた温泉でゆっくりするのがいいのだろうが、申し訳ないことながら、温泉めぐりではない岬めぐりでは、そういう時間がない。石部からは15時台の最後のバスに乗り遅れないようにしないと、波勝崎へも宿へもたどり着けないことになるので、あまりのんびりもしていられないのだ。
萩谷崎は、ここらでは一番大きな、丸い岬である。奇岩や断崖の岬も不思議だが、こういう何の変哲もない、ただ丸いだけで、こどもの海岸の砂遊びでつくるような、小山ひとつだけが突出している地形も不思議なものだ。
おまけに、ぽんぽんと手か板きれで叩いて整形したかのように、てっぺんが平らになっている。郷土史家か何かが現れて、「このてっぺんに広く平坦なところがありますでしょう。あそこは荻谷城というお城があったのです」などと解説してくれようものならば、即座に首肯くしかないようなところである。
岬の周囲はやはり崖と岩場の磯に囲まれているので、回遊できるような道はないが、もし回ることができれば、1キロそこそこといったところだろう。
岩地の海水浴場の反対側にも、小さな砂浜がある。こういうところで泳ぐと気持ちがいいだろうな、と思わせる。海の青と山の緑以外には、なんもない。こういう岬もまた、いい。
下まで降りていきたいところだが、タクシーとドライバーが待っている。まあ、とにかく石部まで行ってもらい、そこからまた萩谷崎を眺めてみましょうか。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度44分46.50秒 138度45分18.87秒東海地方(2007/06/07 訪問)
この記事へのコメント
とくに、ゴルフ場も高級別荘地もない南のほうは、その感をいっそう深くします。