115 黄金崎=賀茂郡西伊豆町宇久須(静岡県)岬が黄金色に輝くとき
NO NAME さんからいただいた114のコメントにあるように「…そのつどの記憶の断片をつなぎ合わせてもつながらないのが、松崎の入江から海沿いに石廊崎に至る地点。下田から行っても沼津から行っても、あきらめて引き返す地点。」という実感は、多くの人に共通する。伊豆半島も松崎から先は、こういう言葉を安易に使いたくはないがなかなかの“秘境”なのだ。
その“秘境”に向かう前に、西伊豆町にある黄金崎へ行かなければならない。黄金崎は、宇久須の湾をはさんで、恋人岬と向かい合う岬である。バスを降りクリスタルパークという施設の上の道のトンネルを抜けると、キャンプ場もあり、公園として整備された一帯がある。湾の向かい側には、さっき通ってきた恋人岬もよく見えている。
海岸のそこここに見える崖の露頭は、黄色や赤味がかった色をしている。なるほど、「黄金崎」の名の由来は、これだったのだ。
地質学的には、プロピライト(propylite)と呼ばれる変朽安山岩が、この岬を形成しており、県の天然記念物にも指定されているとあって、遊歩道・駐車場・展望台・売店なども整っている。三島由紀夫の小説にも、その描写が出てくるというので、文学碑もあるが、そいうった黄金崎ならではの景観は、夕日がこの崖にあたる時でないと味わえない。
崖の上に松の木が立っており、その根っこが固そうな崖の中にかろうじてしがみついている。もとはもっとあった地盤が崩れ落ちて、こんなことになってしまったのだろうが、逆境で生き延びようとする松の姿には、なにやらうたれるものがある。こんなとこやだと、どこかへ行ってしまうこともできない松の木であれば、そこにとことん根を張るしかないのだが…。
この西伊豆町には、堂ヶ島も含まれており、ここには高級そうな旅館やホテルが並び、洋ランセンターのような観光施設もあるのだが、でこぼこの多い海岸線をもつにもかかわらず、岬はここだけなのである。なので、またバスに乗り、それらはさっさと素通りしつつ松崎に向かう。
34度50分35.40秒 138度45分40.81秒


この記事へのコメント
一時期は、海の汚れもいわれたこともあったようだけれど、最近は下水道が整備され、田舎でも合併処理が進んできたので、排水を直接川や海に流すことは、かなり減ってきたのだと思われます。